自然災害だけではない!知っておくべき災害の種類
災害というと、皆さんはまず何を思い浮かべますか?
地震・津波・洪水・土砂崩れなど自然災害が真っ先に思いつく方も多いと思います。
日本は災害大国と言われるほど自然災害が多いことで知られています。
日本という国がある位置や気象、地形や地質などの条件から、火山噴火・地震・津波・豪雨・台風などが発生しやすい国なのです。
ですが、これらの自然災害だけが災害ではありません。
普段から防災意識を持ち、備蓄品を管理されている方も多いと思いますが、災害とはどんなものがあるのかを知り、災害への意識と備えを見直していきましょう。
目次
災害の定義
日本の防災対策の基本の法律『災害対策基本法』第一章第二条一では、災害を次のように定義しています。
「暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう」
災害とは、地震や津波などの自然現象そのものを指すのではなく、その現象が私たちの命や社会生活に被害を及ぼすことを言います。
そして上記定義にあるように、自然災害だけでなく人為的な事故や火災なども災害に含まれるため、想定しておくべき災害は様々なものがあります。
災害の種類
災害は、①自然災害 ②人為災害 ③特殊災害の大きく3つに分けられます。
自然災害
地震・津波・大雨・土砂崩れ・豪雪・噴火・竜巻・干ばつなど、気象や地象による災害のことです。
天候により生じる風雨・雹・雷・雪崩などの気象災害や、地形の関係で生じる地震・津波・火山・土砂など地上・地中で起こる地象災害があります。
自然が相手なので、いつどこでどんな災害が起こるか正確に予測することは難しいですが、予報などで気象状況はある程度予測できる部分もあるので事前に対策がとれることは確実にあります。
気象情報をいち早く収集できるよう、スマートフォンなどの携帯端末に防災アプリを入れて、現在地の警報・注意報などが表示されるように設定しておくなど、各自治体などが発信している避難情報にも注意を向けることも大切です。
人為災害
自然災害とは異なり、交通事故・大気汚染・騒音・職業病など「人間」が引き起こす災害のことです。
人為災害には様々なものが含まれ、大きく次のように分類されます。
人為災害の種類 | 内 容 |
---|---|
都市公害 | 事業活動やその他の人の活動に伴い生じる大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・火災・騒音・振動・地盤沈下など |
産業災害 | 工場や作業現場などで勤務中に従業員が負傷・疾病・死亡する労働災害など |
交通災害 | 車・バス・列車・航空機・船舶などの運行による事故 |
管理災害 | ずさんな計画や設計・調査、施工の劣悪、管理の怠惰・不備などによる災害 |
災害は突発的に起こるものもあり、誰もが被害を受ける可能性を持っています。
ですが、人為災害が起こらないようにすることは私たち1人ひとりの責務でもあります。
乗り物を運転するとき・機械を操作するときなどは、十分に注意するといった基本的な安全確認も災害防止措置ですし、事業者が環境保全に取り組むことも災害対策と言えます。
また、企業に求められるものとして『企業防災』が挙げられます。
- 生命の安全確保
- 二次災害の防止
- 事業の継続【BCP :Business Continuity Plan】
- 地域貢献、地域との共生
残念ながら、防災対策・防災備蓄をしっかり行っているという事業所はまだまだ少ないと言わざるを得ません。
事業者・従業員・社会にとって様々なリスク軽減と安全確保、支援・救済の社会的責任を持つ立場だということを認識し、災害への備えをしっかり行っていくことが求められています。
企業法人向けの防災備蓄品の購入~管理・入れ替え・不要品引き取りなどの業務代行サポートを行うサービスもありますので、防災備蓄管理業務に人員を割けない事業所はこのようなサービスの導入も有効だと思います。
特殊災害
自然災害以外の人為災害の中でも特殊な災害のこと。化学物質漏洩事故やテロによる災害など。
- 化学【Chemical】
化学物質漏洩や化学兵器による災害 - 生物【Biological】
病原体・感染症などの流出、拡散や生物兵器による災害 - 放射性物質【Radiological】
放射性物質漏洩や原子力事故等による災害 - 核【Nuclear】
核兵器による武力攻撃・テロによる災害 - 爆発物【Explosive】
爆弾や薬品による爆発、テロ、事故、火災などによる爆発でおこる災害
上記それぞれの頭文字をとって、NBC災害やCBRNE災害とも呼ばれることもあります。
戦争やテロにより、化学兵器や生物兵器が使用されることも想定すると、私達一般市民では防ぎようのない災害で、巻き込まれれば多くの死傷者がでることになるでしょう。
東日本大震災(2011年3月)では、超巨大地震により大津波が福島原子力発電所を襲い、目に見えない放射性物質が放出され被害を深刻にしています。
また、震度6強の揺れが稼働中の原子力発電所を襲った、新潟県・中越沖地震(2007年7月)では、敷地内で様々なトラブルが3,000以上も発生し、出火や地盤沈下なども生じています。
このように、自然災害や人為災害の二次被害・三次被害から特殊災害につながるケースもありますので、特殊災害を想定した避難訓練や防災教育を行うことも大切です。
家庭でできる災害対策
これまで大きく分けて3つの災害についてお伝えしました。
武力攻撃やテロといった特殊な災害は完全に避けることは極めて困難ではありますが、何も考えないでいるよりは想定するだけでも意識が変わると思います。
前項の繰り返しになりますが、もっと防災訓練や教育(学習)する機会を作り、世界中で起こっている災害を知ることは備える力になると思います。
何よりも先ずは、今できる自助・共助の防災力を高めることが先決です。
そこで今一度、家庭でできる備えについて考えてみましょう。
- ハザードマップを確認する。洪水・浸水・津波・土砂災害などハザードマップは幾つかあるので気をつけよう!
- 家族同士の安否確認方法を話し合う。災害用伝言板・災害用伝言ダイヤルの使用方法を再確認しよう!
- 家具の配置、設置状況を確認する。転倒防止措置をとる・高いところにモノを置かないなどの改善をしよう!
- 食料や生活必需品の備蓄を見直す。ローリングストックの活用や電池の液漏れなど備蓄品の総点検をしよう!
- 0次・1次・2次・3次の備え。普段から持ち歩く防災ポーチ、避難所に持ち込む防災リュック、在宅避難に備える備蓄品をそれぞれ用意しよう!
ハザードマップ
ハザードマップとは、自然災害が発生した場合に被害が想定されるエリアや避難場所を地図に示したものです。
災害の種類によって被害想定エリアや避難場所も変わるので、自分の生活圏内で想定される災害と安全を確保できる避難経路の確認をしましょう。
各自治体によってハザードマップの作成や提供方法が違うので、引っ越し等で他地域へ移動した際も必ず確認しましょう。
また、これから土地や住宅を購入したり、住居を建設するなどの際も、事前に災害リスクを確認することをおすすめします。
国土交通省が提供している「重ねるハザードマップ」「わがまちハザードマップ」で簡単に確認できますので是非チェックしてみてください。
安否確認方法
■災害用伝言ダイヤル
災害発生により、被災地への通信が繋がりにくい状況になると提供される音声伝言板です。
局番なしの「171」へ電話をかけると伝言を30秒間録音でき、自分の電話番号を知っている家族などが伝言を再生し確認できる仕組みです。
一般加入電話や公衆電話、一部のIP電話から利用できますので、公衆電話を使ったことがないお子さんや、記憶が薄れている方は公衆電話の設置されている場所も含めて確認するようにしましょう。
「171」災害伝言ダイヤル使い方 NTT東日本🔗
「171」災害伝言ダイヤル 政府インターネットテレビ🔗
■災害用伝言板(Web171)
災害用伝言ダイヤル同様に、被災地への通信が繋がりにくい状況になると提供されるテキストメッセージ伝言板です。
被災地域の住居者がインターネットを利用してweb171にアクセスして、電話番号をキーとして文字による伝言情報を登録できる仕組みです。
スマートフォン・PC・タブレットから登録・確認ができ、登録情報の通知や災害用伝言ダイヤルとの連携もできます。
お使いの携帯端末やブラウザ設定によっては正しく利用できない場合があるので、平時にて確認しておくようにしましょう。
家具の転倒防止や配置について
家具や建物を含め、すべてのモノには重心があります。
重心の位置は幅や奥行き・高さ・重量などにより決まり、重心が低いほど倒れにくいと言えますが、絶対に倒れないという保証はできません。
自宅や職場がどうのような構造物であるか、階数によっても揺れ方は違いますので、置いただけの家具や家電製品などのモノは、予想もしない動きをすると考えておきましょう。
ピアノや業務用の複合コピー機などの重量物でも簡単に飛ばされたり、床を滑り移動する場合があるので、できるだけ固定する措置が必要です。しかし、場合によってはキャスターなどで移動(滑る)する方が安全となるケースもあるので、専門のメーカーに問い合わせ、必要な対策をしておきましょう。
特に注意したいのが、寝室において地震などで転倒する恐れのある家具などは、その高さや幅の分だけベッドの位置を変えるなどの対策も必要です。
また、各出入り口付近にはモノを置かないなど、避難経路を塞ぐ原因になるような配置は避けるようにしたいですね。
備蓄品の管理
飲食料や災害時に役立つ日用品を備蓄されている方も多いと思いますが、一度買ってそのままだったり、しばらく見直ししていない方は再度点検や見直しをしましょう。
ローリングストックで消費と買い足しを繰り返す方法もありますが、人によって、もしくは使用頻度によってはローリングストックがおすすめできない場合もあります。
備蓄品は災害時にすぐ使えて、十分な数が備わっていてこそです。
普段からよく消費するようなものは、都度、買い足しが必要ですから、買い物に行く手間がかかるようではおすすめしません。
災害備蓄用として必要な数量を、普段使いのものとは別に備えておく方が賢明だと思います。
家族構成やライフスタイルでも必要なモノ・数は違うので、安易に市販の防災セットを用意するだけだと、いざという時に困ることにもなり兼ねません。
特に食料品は、普段から食べなれているものを備蓄する方が良いでしょう。
アルファ米や災害用レトルト食品は長期保存ができて便利ですが、賞味期限が切れそうなものから試食するなどして、自分の好みか?家族はストレスなく食べれるか?などを確認しておくことで家庭に合った食料備蓄品を備えるようにしましょう。
水は1人1日3リットルと覚えている方もいるかと思いますが、飲む・調理する・体をふく・トイレに使うなどを含めると、3リットルでは足りなくなりますので注意しましょう。軟水・硬水などによっては、下痢や腹痛を起こす場合もありますので体に合ったモノを備蓄しましょう。
0次の備え=いつもの持ち物に防災グッズを加えよう
災害はいつ発生するか分かりません。
外出中や仕事中に被災することも考えられるので、普段から持ち歩く防災グッズを用意しておきましょう。
0次の備えの目的は、外出先で災害に見舞われた時、身動きがとれない状況でもその場で数時間過ごせるように、又は自宅や避難所への移動をより安全に行うための備えです。
停電によりお店のレジが使えなくなることで、キャッシュレス決済できず現金払いのみとなったり、おつり不足になったりするので、小銭を多めに用意しておくと便利です。小銭は自動販売機でも使えるし、公衆電話にも必要です。
衛生用品・絆創膏・飲料水・携帯食・筆記用具・モバイルバッテリーなどは普段から持ち歩いている方も多いのではないでしょうか。
そこにプラスして、ミニライト・防災ホイッスル・携帯トイレ・防寒アルミシート・身分証のコピー・連絡先一覧(スマホが使えない場合の予備として)があると0次の備えとして安心です。
アレコレ心配で何かと荷物が多くなりがちですが、必要な備えとして0次用の防災グッズを1つのポーチなどにまとめておき、普段から持ち歩くようにして欲しいと思います。
*ここで紹介した携帯品は、あくまでも参考であり、ご自身で必要なモノを準備してください。
最後に・・・
災害の規模が大きいほど公的支援を受けられるまでには時間がかかります。
自分の命は自分で守るのが防災の基本ですが、個々の力には限界があります。
近隣住民同士や地域・職場で助け合う共助の力で防災・減災に努めるようにしましょう。
災害対策に終わりはありません。
少しでも災害への知識と意識を持ち、災害の備えを継続していきましょう。