オフィスデスクの書類整理
企業に限らず個人レベルでもペーパーレス化が進んでいるとはいえ、まだまだ紙ベースでの業務・管理は多いですよね。
重要な契約書類や法的文書は紙媒体での取り決めが求められたり、手書きの書類が必要な場合も多くあります。
日々の業務の流れに従い、様々な書類が発生していき、気が付けばデスクの上は書類で山積みになっているとお悩みではありませんか?
すぐに必要な書類が見つけられないこともあるでしょう。
このような状況はストレスを引き起こし、仕事の効率を下げる原因にもなります。
オフィスでの書類整理は、生産性の向上に欠かせない重要な要素です。
適切な書類管理を行うことは、必要な情報を素早く手に取ることができ、業務の効率性を高めるだけでなく、情報漏洩リスクを軽減させる助けにもなります。
この記事では、書類整理の具体的な手順やアドバイス、そして書類整理がもたらす心理的効果についてご紹介します。
目次
書類整理をする前にやるべきこと
先ず、書類の整理を始める前にデスクの整理整頓をしましょう。
整理整頓とはそれぞれ以下のことです。
整理=不要なモノを取り除くこと
整頓=整った状態にすること
いきなり書類整理に取りかかると、この書類をどこに・どうやって収納管理しようか?と悩むことになります。
先ずは書類以外の、使っていないモノや私物、要らなくなったモノなどを取り除き、デスクのメタボを無くしていきます。
自分のデスクを見直すことで、スペースを確保すると共に業務フローと必要なモノ・コトを頭の中でも整理することができます。
このデスクでの業務は何なのか?をよく考えて、必要なモノだけを取り出しやすく収めていきましょう。
整理整頓や片付けが苦手な方は、こちらの記事もおすすめです。
書類の分類
デスクの整理が終わったらいよいよ書類の整理です。
手元にある全ての書類を出してみましょう。
鞄や机の引き出しにあるものなど、あちこちに散在している書類全てです。
一度に全ての書類を確認することで、全体像を把握しやすくなり、後の分類作業がスムーズに進みます。
しかし、一度に全てとなると時間もかかりますので、デスク上の右側にある書類だけとか、引き出しの中だけとか、限られたエリアにある書類から始めることも、時間が無い方には有効です。
先ほど、整理とは不要なモノを取り除くことだとお伝えしました。
書類も同じように、保有する必要のない書類は取り除いていきましょう。
例えばこんな書類はありませんか?
- ミスプリント
- 自分専用の控えとしてコピーした書類
- 同じ部署内などの複数の社員が同じ書類を持っている
- 保存年数が過ぎている書類
- データー化できる書類
逆に、法定保存文書や、会社独自の規定で保存保管が定められている書類は処分してはいけません。
特に定めもなく、誰が・どこに・どうやって・いつまで管理すればよいか分からないような書類は、上司と相談して取り決めていく必要があります。
今、自分のデスクにある書類は、あなた自身の個人の所有物として存在しているかのようですが、業務で発生する書類は、基本的には会社の書類(もの)であることを忘れてはいけません。(職務著作)
これらの書類は、保管期限・アクセス権限・廃棄方法など適切に管理する必要があります。
不要な書類を適切に処分したら、手元にあるのは残して管理する書類ということになりますね。
それを大きく2つに分けます。
- 重要書類
・契約関連(労務、賃貸、業務委託、NDAなど)
・人事関連(社員名簿、雇用契約、人事評価など)
・法務関連(コンプライアンス、規則規定など)
・顧客関連(顧客契約リスト、サービス提供記録など)
など。 - 一時保管書類
・進行中のプロジェクト関連
・短期的に保管が必要なもの
・リファレンス書類(マニュアルや手順書、参考資料など)
など。
上記分類のカテゴリー分けは一例であり、ご自身の携っている業務によって変わってきますので必要な分類をしていきましょう。
ここで重要なのは、直ぐに見つけられる分け方にすることです。
手書きのメモ程度でよいので、どんな分類に何の書類を入れるのかが分かるように記録しておきましょう。
どこに何を入れたか分からなければ本末転倒なので、自分が管理しやすいカテゴリー分けにしていきます。
はじめから細かく分けると反って分かりにくくなります。
大分類・中分類・小分類に当てはめて分類していきましょう。
分類事例
以前、私が自動車販売業の企業様へご提案した、書類整理についてのカテゴリー分けの事例をご紹介します。
その企業は、新車・中古車の販売、整備、リース業をされており、大変忙しくされていました。社員間で書類が行き来し、社長が持ち出したりするため、書類の管理が追い付かない様子でした。
そこで私は、社長が保有したり、決済等を行う必要があるもの以外は、社員全員がアクセスできる書棚での管理を基本とし、社内共通の分類をするようご提案しました。
個人のデスクに一切書類を保管せず、作業が終わったら速やかに書棚に戻すことで、個人のデスクもスッキリするし、共有しているんだという意識で書類を管理できます。
主な業務は、仕入れ・販売・整備という3つのカテゴリーに分けることができ、その中で、販売なら新車、中古車などがあり、各フォルダーを作り、それを中分類とします。
中分類をさらに、顧客別にする50音別のファイルを小分類とするといった感じです。
図に示した事例は、いたって普通ではありますが、整理が苦手とか、一貫したルールを設けていない場合はぜひ参考にしてください。
個人デスクにて管理する書類は、自分だけがアクセスする書類ということですから、自分が管理しやすい方法を考えていきましょう。
デジタル書類についても同じように、フォルダ構成を設定していくようにしましょう。
一貫したファイル名をつけ、検索しやすい名前にします。
デジタル書類については別の記事で解説するとします。
書類の収納システム構築
分類が終わったら書類の収納に移ります。
ファイルボックスやフォルダー、トレイなど書類を収納保管するアイテムは様々。
どれを使えばいいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
書類収納で一番大切なことは、何が何処にあるのかがすぐ分かるということです。
そのため、書類は立てて収納することが重要です。
書類を重ねて平積みしていくと、一番上にある書類しか内容が分からず、下にある書類は内容が確認できないうえに、取りだしにくいですよね。
立てる収納の方法は幾つかありますが、『バーチカルファイリング』という方法をすすめる記事や動画をよく見かけます。
「バーチカル」とは「垂直」という意味で、書類を立てるという方法ですが、個別フォルダにラベルをつけ書類を挟み、それをファイルボックスに入れて管理する方法です。
ですが、実際にはバーチカルファイリングが適さない場合も多いです。
自社に合った、もしくは、自分が管理しやすい方法ならこれに限りません。
リングファイルやフラットファイル、トレー、レターケースなど、どんな書類で、どんな扱いをするかで収納方法は異なってきますので、業務フローと書類の性質(使用頻度や使用場面など)によって収納方法を工夫しましょう。
使用頻度が高い書類
頻繁に参照する書類はデスクの上に配置。
自分の業務が終わったら他の人へ渡す、いわば循環させる書類は、中身が見えてサッと取り出せるクリアファイルで管理するのがよいでしょう。
マニュアルや一覧表のような、目を通すだけでよいものは、書類自体を取り出さなくても確認できるクリアフォルダーがおすすめです。
これらを、ファイルスタンドやファイルボックスに収納しましょう。
重要書類
業務に関する書類は、たとえメモであっても、どれも重要な書類ではありますが、閲覧制限など一部の者しか携われない業務の書類などを管理しているのであれば、鍵付きのキャビネットや引き出しに収納すると良いでしょう。
保管期限や保存方法にも注意が必要です。
常に自分の近くで管理するのが望ましいです。
プロジェクト書類
各プロジェクトごとに、色分けされたファイルやバインダーなどで管理すると良いでしょう。
ファイルなどのアイテム自体の色分けや、ラベルの色分けでも管理しやすい方で良いと思います。
リファレンス書類
頻繁には使わないものの、必要な時に参照するために保管しておく書類です。
例えば、技術資料や参考文献、過去のプロジェクト資料やガイドラインのような書類です。
個人でこのような書類を管理すのであれば、デスク脇のキャビネット下段奥に収納すると良いでしょう。
書類収納のラベル作成
分類し、適切なアイテムに収納した書類にはラベルを付けて、中身が一目で分かるようにしましょう。
- 仮ラベルの作成
最初に手書きラベルや付箋、マスキングテープを使用して仮のラベルを作成します。
勿論、ラベルライターで作成しても構いませんが、分類やラベル名変更が無いとも限りません。
ラベルを付け替える必要がある場合でも、簡単に修正が可能です。 - 収納システムとラベル表示の検証
仮ラベルを付けた状態で、しばらくの間、実際に書類整理を行ってみます。
この収納方法で問題はないか?
取り出しやすく、戻しやすいか?
分かりやすいか?
このような改善点が無いかを確認しましょう。 - ラベルの確定
この分類、収納アイテム、収納方法、ラベル表示、全てに納得がいき、スムーズに機能することが確認出来たら、ラベルライターで正式なラベルを作成し貼り換えます。
整理収納のポイントとして、最初から完璧を求めず、柔軟に調整しながら創り上げていくことが重要です。
書類収納の維持管理
整理収納された状態を維持するには、書類整理の習慣を身につけましょう。
作業を終えたら元の場所に戻す、次に回すものは速やかに引き継ぐなど、基本的なことも取り組んでいきましょう。
デスクを離れる時、一日の業務を終える最後の5分、毎週末に一度など、書類整理をするクセをつける、時間を設けるなどして定期的にメンテナンスを行うことで長続きします。
書類によってはデジタル化して管理することも効率化に繋がる場合があります。
全て紙書類で管理せず、必要な情報を最適な形式で管理するよう意識しましょう。
また、不要な書類を捨てることも大切です。
一定期間使わなかった書類や、保管年数が過ぎたものは廃棄することで、スペースを有効に使えます。
「本当に必要なものだけを残す」という意識も大切です。
書類整理の心理的効果
書類整理は単なる物理的な作業ではなく、整理すること自体が多くのポジティブな効果をもたらしてくれます。
書類が整然と整理収納され、ストレスなく業務をこなしていける環境は、仕事の効率を上げるだけでなく、心の安定にも大きく影響してきます。
ストレスの軽減
書類が散らかっていると、それ自体が視覚的なストレスとなり、心理的に負担が増えます。
必要な書類がすぐに見つからない状況は、焦りやイライラを引き起こし、ストレスからパフォーマンスを下げることに繋がりやすいです。
そのイライラが他者へ向いてしまう人もいます。
雑然としたデスク環境が視界に入っただけでもストレスを受けるのに、物理的に書類が見つからないという状況では、更にストレスが増えるわけです。
人間は、無意識でも、目で見ているものからも影響を受けるということならば、どうせ見るなら美しいものを見て欲しいと私は思っています。
書類を整理し、デスク作業スペースが確保され、スッキリとした環境は精神的にもリラックスでき、やる気アップにも繋がります。
生産性の向上
書類管理ができると、書類を探す時間が減り、その分仕事が進みますので生産性が上がります。
無駄な時間が無くなり、集中力を高めることができ、業務スピードや精度が向上していきます。
コミュニケーションの円滑化
書類の整理収納は、コミュニケーションにも影響を及ぼします。
整理された書類環境は、上司や同僚との情報共有がしやすくスムーズに行えます。とくにチームでプロジェクトを進める場合は、共有フォルダなどを活用し、チーム全体で管理・作業を行うことで意見交換や見落としを防ぐなどできます。
自分がデスクを離れていても、フォルダ分けやラベリングがされていて、どこに何が収納されているのかを指示することができれば、他者でも必要な書類を手にとることができるので、業務が止まることを防いでくれますし、よいコミュニケーションが回っていきやすくなります。
あなたに回った書類はいつも行方不明になる・・・
なんてことが無いようにしていきたいですね。
まとめ
この記事では、書類整理の具体的な手順やプロのアドバイス、心理的効果について詳しく解説してきました。以下に、特に重要なポイントを箇条書きで示しますので、参考にしてください。
重要なポイント
- ステップバイステップガイド:
- 書類をすべて出す:全ての書類を一度に出して、全体像を把握する。
- 分類と仕分け:重要書類、不要書類、一時保管書類などに分類し、デジタル書類も整理する。
- 収納システムの構築:適切な収納アイテムを使用し、使う頻度に応じて配置する。
- ラベル付けと整理整頓:手書きラベルを使って仮システムを作り、実際の使い勝手を確認してから正式なラベルを付ける。
- 維持管理のコツ:定期的なメンテナンスを行い、整理された状態を保つ。
- プロのアドバイス:
- 一度にすべてを整理しない:短い時間を定期的に確保し、少しずつ進めることが大切。
- 「使う頻度」で分ける:使用頻度に応じて書類を配置し、無駄な動きを減らす。
- 紙とデジタルのバランス:必要な書類を最適な形式で保持し、効率的に管理する。
- 「捨てる勇気」を持つ:不要な書類を定期的に見直して廃棄する。
- 定期的なメンテナンス:毎週1回など、整理整頓の時間を設けて、常に整った状態を保つ。
- おすすめの収納ツール:
- クリアファイルとバインダー:カテゴリー別に分けて保管。
- デスクトレイ:タスクの優先順位ごとに分ける。
- ラベルライター:見た目も統一され、美しく整理。
- ファイルボックス:立てて収納し、取り出しやすく。
- キャビネットや引き出し:大量の書類を収納。
- 書類整理の心理的効果:
- ストレス軽減:整った環境が心の平穏を保つ。
- 生産性向上:無駄な時間を削減し、効率的に作業を進められる。
- コミュニケーションの円滑化:情報共有がスムーズに行える。
書類整理をすることで、あなたの日常がよりスムーズでストレスフリーになることを願っています。
今日から少しずつでも始めてみましょう。
あなたの努力が実を結び、整った環境で新しいスタートを切ることができるはずです。